白磁とは、素地(きじ)に透明釉をかけた磁器の総称です。青磁の素地と釉の中から鉄分を除いて、白磁がつくられました。中国唐の時代(618年~907年)には、すでに見事な白磁が焼かれていました。日本で本格的に製造されたのは、佐賀県有田の磁器の陶石が発見された1610年以降からです。有田の繁栄と伴に急速に全国に広まりました。白磁は形の善し悪しがわかり易いので、ロクロの技が反映されます。朝鮮の李朝の白磁の壺は最高傑作だと言われていますが、日本の陶芸家では中村清六が究極の美しさを実現しました。
そのフォルムは見ていても飽きることがありません。お孫さんの中村清吾さんがお祖父さんの道をたどり始めました。また、白磁に独自の技法、彩色象嵌を施した中尾恭純さん、さらに有田の隣の三川内には平戸藩の庇護を受け、白磁の特性を生かした作品を400年以上も作り続けている窯元もあります。いずれも卓越したロクロの技があればこそ、人々の共感を得て来たものです。これからも日本の宝として、伝え続けていかれることでしょう。
白磁に呉須で絵付けをしたのが染付で、白磁に色で絵付けをしたのが色絵です。三川内の平戸嘉久正窯は、素晴らしい青華染付を代々制作します。色絵で有名なのは明の赤絵であり、日本にも1640年頃に明の技術が有田に導入され、日本独自の装飾性のある季節感のあふれた色絵として発展を見せます。柿右衛門、古九谷、色鍋島、金襴手、染錦などです。現在の有田の色絵では、柿右衛門窯、今右衛門窯が有名ですが、伝統のある晩香窯 庄健の庄村健氏が開発した、独特の「藍染」、「紅染」色の白磁に描かれた作品は一見の価値があります。また、高森誠司氏が手ロクロ・手描きで独自の色合いを出します。