天目は、青磁と並び東洋独特かつ最古の釉薬のかかった焼き物で、幽玄の世界を表現しています。天目の名称は日本で付けられたもので、現在では全世界で使われています。語源は、宗時代に日本の禅僧が天目山から持ち帰った黒釉茶碗が、天目茶碗と呼ばれたところから来ています。茶の湯の世界でも、天目茶碗は名品として愛用されました。
今日、天目茶碗は国宝に5点、重要文化財に11点が指定されていて、天目茶碗の名品は全て日本にあると言われています。
現在は、黒い焼き物がすべて天目と呼ばれますが、天目も青磁も釉薬に含まれている鉄分のはたらきで黒と青の色になります。天目は青磁に比べ多くの鉄分が含まれています。天目の焼き方は難しくて完成度が低い為に、大きい作品は特に難しいのです。
現在、天目茶碗を創る陶芸家はいますが、ろくろでひかれた大きい作品に、数種類の天目釉を使い分け、独自の技法で幽玄の世界を表現する野中拓氏の天目は注目されます。